長尾田地区には隠岐でも指折りの美しい海岸がありますが、そこに住む人々は今やわずか6世帯。
毎年やってくる漂着ごみに、地元だけでの清掃活動は限界を迎えつつありました。

そんな課題に応えるかたちで立ち上がったのが「エコジオプロジェクトin長尾田海岸」。
隠岐の島町と(一社)隠岐ジオパーク推進機構の共催で、自然と地域を守るため、ボランティアが集まり、環境保全に取り組む一大イベントとなりました。

令和7年5月17日(土)に実施された今回は、通算2回目の開催で、前回は蔵田海岸で実施されました。地元企業である隠あい心(おあいこ)株式会社さんの主導のもと、地域とボランティアが力を合わせ、より持続可能な島の未来を見据えた取り組みが続いています。

当日は強い風と小雨が降りしきるあいにくの天候。それでもエコジオプロジェクトに集まった参加者たちは雨にも負けず風にも負けず、ごみ袋を手に海岸を歩き続けました。漁具やペットボトル、発泡スチロールなど、さまざまな漂着ごみを丁寧に拾い集め、厳しい条件下での作業でしたが、今回の活動は今後の清掃活動へ向けた大切な土台となりました。

地元の方々も手伝いに加わり、「この風と雨の中、よく来てくれたね」と感謝の言葉が飛び交うなど、悪天候にも関わらず、温かな雰囲気に包まれた一日となりました。

清掃作業の後には、地元の飲食店や団体による心温まるふるまいが参加者を待っていました。志母(しも)うどん店からは、手打ちのうどんとお寿司がふるまわれ、疲れた体に優しい味が染み渡りました。また、五箇の地域団体「こぞって会」からは、さざえのつぼ焼きやタコの串焼きといった島の海の幸が提供され、まるで小さな食の祭典のようなひとときに。

自然を守る活動の中で、地域の人々との交流も深まり、参加者からは「また来たい」「意義のあるイベントだった」という声が多く聞かれました。

隠岐の島町では、少子高齢化と人口減少が深刻な課題となっています。こうした状況の中で、地域の環境を守りながら外部とのつながりをつくるエコジオプロジェクトは、単なるごみ拾いにとどまらず、地域の未来を支える大切な一歩だと感じました。

長尾田海岸で開催された第2回エコジオプロジェクトは、限界集落という地域の特性と、環境問題という社会的課題の両方に向き合う意義ある取り組みとなりました。悪天候の中でも多くのボランティアが参加し、漂着ごみの一部を回収することができました。天候の影響で作業の進行は限定的でしたが、それでも一人ひとりが自然と真剣に向き合った時間は、大きな意味を持つものでした。

この活動を通じて、多くの人が「拾うこと」の意味を見つめ直し、自然とのつながりや地域との絆を深めることができました。秋には第3回の開催も予定されており、今後さらに広がりを見せるこのプロジェクトに、ぜひあなたも参加してみませんか?

未来を拾う一歩は、今日の小さな行動から始まります。

【この記事に関するお問い合わせ】
隠岐の島町役場 環境課 生活環境係
連絡先:08512-2-8565